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翻訳

先般、「モノローグ集」という本があると聞き、
気になり書店に足を向けた。

日本の俳優は、モノローグに馴染みがないが、
海外では当然学ぶもので、オーディションなどにもモノローグが課題として出されることが多い。

 

日本の演劇はまだまだ海外よりも送れている証拠ではあるが、そんな中「モノローグ集」が出版されたと聞いて興味を示さないわけがない。

 

と、そんな矢先、
目に飛び込んできたのは、「シェイクスピア」の文字。

 

辞典くらいの厚さの本で、
四代悲劇の翻訳集なのだが、訳者が石井美樹子!
すぐさま手に取ってレジに。
時間もなかったのもあるが、購入することに躊躇ない。
もちろんお目当ての「モノローグ集」も購入。

 

石井美樹子さんは英文学・英国分化の研究で有名な方。
多くの著書もあり、いくつか購入している。
【左から 「中世の食卓から」「イギリス・ルネサンスの女たち」「シェイクスピアのフォークロア」「ありのままのイギリス」「シェイクスピアと鏡の王国」】

 

特にシェイクスピアが活躍したエリザベス朝に纏わる本を読んだことがある。
その中にはもちろんシェイクスピア戯曲の台詞やシーンを抜粋して翻訳されているのだか、
この訳がとても好きだ。
時代背景や登場人物から、イギリスという国を感じられる。そして異国の世界に誘わせてくれる。
また、スタイリッシュも漂う。

 

いつか翻訳した作品が出ないものだろうか…。
と思っていたので、今回の出版は、心踊った。

日本でシェイクスピア劇37編の個人全訳を達成したのは、以下3名。

坪内逍遥さん

小田島雄志さん

松岡和子さん

松岡和子さんは最近ニュースにも話題になりました。
https://www.sankei.com/premium/news/210516/prm2105160004-n1.html

 

以前、松岡和子さん訳の「夏の世の夢」を購入した。

 

二冊並んでるのだが、実は一部翻訳内容が変更されている。
翻訳家の苦労を感じ取った瞬間でもあった。

この「夏の世の夢」
昔はよく「真夏の世の夢」と作品名が訳されていたけれども、これも解釈が難しい。

「夏の世の夢」は「A Midsummer Night’s Dream

Midsummer Night’s」から「真夏」と訳されていたのだが、
Midsummer Night’s」は「夏至」の意味。
到底、「真夏」ではないのだが、作中には「五月祭」というワードが出て来ており、
5月なのか6月なのかと言う疑問も生んでいるのでなかなか難しいところはある…。

ちなみに、多くの人に耳馴染みのあるメンデルスゾーン「結婚行進曲」は「夏の世の夢」の曲でもある。

 

話を元に戻して、石井美樹子さんの「真訳 シェイクスピア四大悲劇」

念願の石井美樹子さんの翻訳で読める楽しみが日々を支えてくれる。
シェイクスピアを通して、イギリスへの関心が高まった。
石井美樹子さんにしか訳せない、真の英文学としてのシェイクスピア四大悲劇が、
しばらく遠ざかっていたシェイクスピア研究に戻れそうな気持ちになり感謝。

 

アクター担任 藤崎